« 1999 Making of 年賀状 | メイン | 風香の写真館 II »
1999年2月 2日
家庭でできる驚異のSFX
最近の映画はSFXバリバリである。これらのほとんどはシリコン・グラフィックス社のコンピュータ(ワークステーション)で処理される。
また、最近の映画の制作費の多くはこのSFXに費やされるらしい。
さて、これと同じ事をどこまで出来るか!家庭のパソコンで挑戦しようというのが今回の試みである。
静止画の合成は割合楽に出来る。これは前回の年賀状の作成過程を見てもらえば分かるが、合成だけならものの数分で完成してしまう。
しかし今回はあくまでもムービー、動画である。これを家庭のパソコンでやろうというのだから多少無理があるのかも知れない。
映画のSFXは数千万円のワークステーションと何百時間という時間と労力を掛けて制作される。
対するこちらは、20万そこそこのパソコンと、数万の追加投資だけである。
さて、家庭でどこまで出来るのか?!早速挑戦したいと思う。
ブルー・バック
今回の映像は、巨大カタツムリと風香がどこかで遊んでいるというもの。
カタツムリは家で飼っているのに出演を願うとしよう。
さて、このような映像を作るには合成処理が欠かせない。
まず、背景を撮り、次にカタツムリだけを画面一杯に撮る。最後に風香を撮る。
これら3枚の動画を巧い具合に重ね合わせて最終的に1枚のムービーになる。
この合成処理の方法として、TV、映画なども含め一般的にブルー・バックという手法が採られる。
これは、背景を「青一色」にして俳優のみを撮り、最終的な処理の段階で「青」の部分のみを抜き去り、別の映像に重ね合わせるというモノである。
今回は同じ手法を採るとする。
早速、国立市内の手芸店から青い布を買ってきた。2メートルx2メートルで2000円。
まぁ、こんなもんだろう。風香の部屋の壁に貼ってみたのが左の写真。
安い布なので、結構しわが目立つ。
シワは大敵である。最終的な処理の段階で「青」成分を抜き去る際、シワなどがあると光の当たり加減で「青」い部分が「水色」になったり「暗い青」になるため、容易に「青」のみを抜き去ることが難しくなる。
今回は電球型蛍光灯を横方向からも当てて、なるべくシワによる影が目立たないよう工夫をした。
撮影
実際に撮影した「カタツムリ」と「風香」、それと3Dソフトで適当に描いた背景を以下に載せる。
当然、背景以外はビデオ・カメラで撮影した動画、ムービーである。
合成
さて、合成である。
今回使うソフトは「メイン・アクター」というドイツ製のデジタル・ビデオ編集ソフト。
インターネットで見つけたもの。注文もインターネット経由で行い、カードで決済した。たしか50ドル(6千円)位であったから、安いものである。
これと同じ機能を持つ市販ソフトを買うと、軽く10万円は飛んでしまう。
とにかくこのソフトは優れモノである。
左の写真を見てもらいたいが、上から順番に「背景」「カタツムリ」「風香」のビデオ・データが登録されている。ほぼ30秒たらずの動画だ。
ここで、「カタツムリ」と「風香」の背景色「青」を抜き取る処理を行う。
そして最後に合成。
左の写真の真ん中に見えているのが、処理後のプレビューである。
画面は小さいが、ちゃんと合成されているのが分かる。
下の写真は、実際に合成処理を行った後のビデオ・データを時間で並べたものである。
如何だろう、このページからは小さくてよく見えないが、それなりの合成映像が出来ているではないか!
完成
一応完成には漕ぎ着けたが、やはり家庭での作成には限界を感じる。
ビデオに落としてテレビで見たのだがクォリティが低すぎて、目も当てられない状況であった。
しかし、ホームビデオにちょっとアクセントを付ける程度なら、十分な効果をもつ驚異の映像が作成可能だ。
デジタル・データのサイズは100メガ・バイトにも及ぶため、到底ここにデータを置くことは不可能である。
。
静止画を下に載せておく。
投稿者 abeshin : 1999年2月 2日 02:39