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2009年7月19日
DTCP-IP対応ソフトウェア
DiXiM Digital TV (HDDレコーダDIGAに記録されている番組を呼び出しているところ)
やっと発売された。
長らく待っていたDTCP-IP対応のソフトウェア・プレイヤーである。
DTCP-IPとは、主に家庭内LANなどのIPネットワーク内で、著作権保護技術(DRM)により保護されたコンテンツを伝送するための技術規格。IEEE 1394などの通信規格において実装されていた著作権保護技術であるDTCP(Digital Transmission Content Protection)をIPネットワークに適用したものである。
この説明ではピンとこないかもしれないが、
要は、地デジ放送は以前のアナログ放送と違い、デジタル・データを使用しているため、コピーしても全く画質/音質が劣化しない。なんといっても地デジは1440x1080という解像度を持つため、高品質なコピーが行われてしまうと著作権に関わる大問題となる。(ちなみにアナログ放送は720x480相当だが、あくまでもアナログ・データとして放送を受信するため必ずデータの劣化が発生する)
一般的に、地デジの番組はHDDレコーダに保存されるが、それをTVに直結して視聴する分には何の問題もない。
しかし、例えば、家庭内LANを介してデジタル・データを別の部屋に送り、何らかのレシーバ機器で番組を視聴する場合には問題となる。
なぜなら、そのままデジタル・データをネットワークに流すと、そのネットワーク上のパケットを横取りして元に戻せばデジタル・データがそのまま手に入ってしまうからだ。つまり、ネットワークを介して不正コピーが可能になってしまうのだ。
それを防ぐために使用される技術がDTCP-IPだ。これはデジタル・データを暗号化してからネットワークに流すというものだ。従い、仮にネットワーク上のパケットを横取りして元に戻そうとしても、データが暗号化されているため、元データを取り出すことは極めて困難となる。
地デジとパソコン
このように、地デジなどのデジタル・データを扱う場合、レコーダ、プレイヤー、TVを製品提供する各企業は、常に不正コピーが不可能な状態を維持する必要がある。簡単にコピーを許す製品を出してしまった場合、業界、特にTVや映画など著作権にうるさい団体から袋叩きに合うのは必至で、最悪の場合、損害賠償請求の可能性もあるため、各企業とも慎重には慎重を期している。
パソコンを介すると、もっとややこしい話になる。何せ、ある意味パソコンは何でもできるため、デジタル・データを如何に保護するかが問題となる。
左図はパソコンを介してHDDレコーダの番組を視聴する場合のデータの流れと、インタフェース、それぞれの著作権保護技術を示している。
HDDに保存された番組データはLANを経由してパソコンへ送られる。これはすでに説明したが、DTCP-IPにより暗号化されたデータがパソコンへ送られる。従い、ここでデータが不正コピーされてしまうことはない。
次はパソコンの中だ。デジタル・データはパソコンの構成要素であるCPUやメモリ、グラフィック・チップ間を行き来するわけだが、驚くなかれ、このパソコン内のやり取りも全て暗号化されてやり取りされるのだ。これはCOPPと呼ばれる技術だ。それにしても、パソコン内を移動しているデータをわざわざ暗号化する必要はないように思うが、ずいぶん過剰に保護しているものだ。データを不正に引き抜く方が難しい気がする。
最後はディスプレイとパソコンの間だ。通常DVIと呼ばれるインタフェースで繋がっている。ここは比較的単純なプロトコルでデジタル・データが流れており、ここを横取りすれば、やはり不正コピーができてしまう。そこでHDCPと呼ばれる技術で暗号化を施す。もちろんHDCP対応のディスプレイが必要になる。
以上示すように、あらゆるインタフェース間で漏れなく暗号化し、不正コピーが出来ないようガチガチに囲われているのである。
DTCP-IP対応ソフトウェア
PanasonicのDIGAもそうだが、DTCP-IPに準拠したHDDレコーダは結構、世の中に出回っている。
これに対応したDTCP-IP対応のメディアプレイヤーと呼ばれる機器はBuffaloやIO-Data等から売られており、ネットワークを介して別の部屋のTVでDIGA等で録画した番組が見られることを謳っている。ただし、もちろんネットワーク・インフラとTVが別途必要であり、機器自体もそれほど安いものでもない。
元々、映像を再生する能力を持ち、さらに画面を映し出す適当なディスプレイを有しているパソコンこそ、DTCP-IPの再生に適していると思われるのだが、対応したパソコン・ソフトウェアというのが中々出てこなかった。
多分、DTCP-IP, COPP, HDCPの3つが揃っている必要があり、かなり敷居が高いからだ。
COPPはそれに対応したグラフィックス・チップが必要になる。またHDCPはそれに対応したディスプレイが必要になる。この2制限で動作可能なパソコン数は相当絞られてしまうのではないかと思う。
ということで、冒頭にも書いたが、待ちに待ったDTCP-IP対応のソフトウェア・プレイヤーがようやく発売された。
HDDレコーダのDIGAは居間にあり、同じく居間にある大画面TVに接続されている。言い方を変えると居間でないと録画した番組が見られない事になる。
これは実は非常に厳しい。なぜなら、TVは家族の誰かにいつも占有されがちだからだ。
以前のエントリにも書いたが、我が家にはDIGAが2台あり、最大4番組同時録画が可能な体制になっており、場合によってはフル稼働している。
録画される番組はどんどん溜まっていくが、見るための時間は増えるわけではない。
せっかく録画してもTVが空いていないため、なかなか見られないという状況になるのだ。
空いた時間で少しでも「ながら見」をするためにも、パソコンで録画番組が見られるDTCP-IPのプレイヤーが欲しかったのだ。
早速購入(4,980円)しインストール。
おぉ、DIGAに録画されている番組がパソコンでそのまま見えるではないか!
DiXiM Digital TV (Battlestar Galactica)
上は敢えてウィンドウ表示しているが、全画面表示とすることで、HDクォリティで視聴することが可能だ。
制限の多さに戸惑い
実は「録画したが、TVが空いてなくてなかなか見られない」というのは自分より妻の方が多いようだ。早速このソフトを妻のノートPCにインストールしたのだが・・・・
うーん、やはり敷居が高い。
Windows VistaだとHome Premium以上が必要だとの制限があった。描画方式により、Aeroの動作が必要らしい。妻のノートPCはWindows Vista Home Basicである。
(それにしてもWindowsXPなら何でもOKなのになぁ)
次に、前出のWindows7をインストールしたネットブックにインストールしてみた。こいつはAeroが動作している。
うーん、これまたダメ。
動くには動くが、HD画像の再生にはそれなりのCPUパワーが必要で、音はするけど画像は待てど暮らせど出てこなかった。
うーん、制限というか敷居が高いなぁ。
個人的には非常に有益なソフトだが、一般的にみると、あんまり売れない気がする。
投稿者 abeshin : 2009年7月19日 00:49