« DVDホーム・シアター再構築 | メイン | DAEWOO DVG-3000Nを買おう »
2002年1月 4日
2002 Making of 年賀状
毎年恒例のメーキング・オブ年賀状です。実は、だんだんプレッシャーになってきていたりもする。
年末が近づくと、妻の友人から「また年賀状期待しています」と言われたり、「今年はどんなの?頑張ってくださいネ」とか、
「阿部さんの年賀状は絶対もらわなければ、やっぱ出さなければ来ないよねぇ?」 当たり前です!
さて、どうやって作るの?といつものように言われ、知らない人からもメールが来たりするが、
まずはアイデア、あとは気合と、根気で完成まで持っていく!
そして重要なのが
あそこが変、ここが変、と騒ぐウルサイ女どもがいればなんとなく完成します。
ここでちょっと過去の年賀状から、今年はどのような方向にするか検討します。
パソコンのハードディスクを掃除していたら滅茶苦茶古いのが出てきました。
1996(ねずみ)
ひぇー、わ、若い!
一応全体をCGで作っていますが、雑誌に付いてきた、ありあわせの素材集を単に貼り付けて作っただけのものです。
それでも、「大きなねずみのぬいぐるみがあるんだね?」と言われたりもしました。
この当時デジカメというものがまだこの世に存在しておらず、8mmビデオの2人の画像をパラレル経由でパソコンに取り込みました。
1999 (うさぎ)
'97, '98 のデータは既に消失してしまいました。という訳で、飛んで'99です。
このCGはここでも詳しく紹介していますが、初の3DCGで作成したものです。
全体をメルヘンチックにするために、背景、木、トランプも含め全てフルCGです。
フルCGの作成は、それぞれのオブジェクトの3Dモデリングをしなければならず、作成に非常に時間がかかります。
下に生えている芝生は縦長で緑色の三角形のポリゴンをランダムで500万本植えました。
また、遠方をぼかす被写界深度を設定したり、空気間を出すためにラジオシティの設定をするなど、最も凝ったCG作品となりました。
2000(たつ)
このCGはここでも詳しく紹介しています。
フルCGはあまりにもその作成に時間がかかりすぎるため、背景は現実のものを使用し、それをCGと合わせることにより不思議な効果を出し、かつ作成時間を短縮させています。
ところがこのドラゴンが曲者で、やはり曲線を帯びた生き物を3Dモデリングするのは大変です。
毎日会社から帰ってきて少しずつ作成し、なんとかドラゴンぽく見えるのに1週間以上もかかってしまいました。
今でもお気に入りのCGです。
2001(へび)
このCGはここでも詳しく紹介しています。
蛇という素材の難しさもありましたが、とにかく作成時間が限られていたため手抜きが多く、イマイチな作品になってしまったことは否めません。
一応フルCGなのですが、どうも、アイデアがマズかったかなと思っています。
という訳で、ザーっと眺めるとメルヘンチックなフルCGもいいのですが、やはり現実の中に非日常的なものが入り込んでいるドラゴンのパタンが、一番面白く感じます。
また、「へび」のパタンではCGとは気づかず、実際にそのような背景の前で、冠を付けて単に写真を撮ったと思った人が多くいたようで、それでは作り手としては面白くありません。
現実的な雰囲気を漂わせつつも、あくまでも巧妙な作り物として見せる必要があります。
ここら変のさじ加減が難しいところです。
庭撮影
さて、今年はうまどし。ペガサスを使うことはすぐに決まりましたが、その構図、人の配置などは、簡単にスケッチしたものを何枚か書き、そこから色々悩みながら選びます。
最終的には、息子、娘がペガサスに乗って空を飛んでおり、それを親2人が下から見上げているというモノに決まりました。
今回は上から下を見下ろすという構図であるため、下地の背景は地面です。
いくら狭い庭とはいえ、2階から撮影しても1度に収まりません。結局10枚ほどの写真を繋ぎ合わせて1枚の絵を作成しました。
こうやって、バラバラに撮った写真を・・・・(実際には細かく10枚ほど撮りました)
このように繋ぎ合わせます。(既にポニーが配置されています)
実はこの繋ぎ合わせは、一行で説明が終わるほど簡単ではありません。
広角レンズで撮影した場合、収差といって必ず画面の4隅が樽型に歪みます。
また、上のバラバラの写真を見て分かりますが、当然遠方の部分が少しずつしぼんでいく、遠近感としての「パース」が付きます。
ところが、複数毎の写真それぞれには、これまた角度の異なるそれぞれのパースがついており、これらをまとめて一枚の自然な写真にするのはかなりキツイ作業です。
下の一枚の写真も、よく見ればかなり歪んだ騙し絵のようなものになっています。
ただし今回は、地面の多くがペガサスによって覆い隠され、不自然さが隠蔽されることを見込んで、ある程度のところで良しとしました。
モデリング
今回の3Dは新たに「3D Studio Max」というプロも使用しているソフトを使用しました。
実際にCMの3Dなどでよく使用されているようで、かなり多機能で、私もまだ完璧には使いこなせてはいません。
上は、ポニーを配置しているところです。
右下がプレビュー画面です。ポニーの下に仮想的な板を敷いています(灰色の板)。これは実際にはレンダリングされず、単にポニーの影を落とすためだけの板です。
板の高さを庭の地面の高さにあわせると、影が庭の写真に自動的に合成され、あたかもポニーがそこにいるようなCGになります。
レンダリング結果は、先ほどの庭の写真です。ちょっと影が濃い目ですが、ポニーとその影がうまい具合に庭の写真と合成されるのが分かると思います。
このCGが今回のベースとなります。ここで一旦レンダリングします。
これはペガサスです。この時点では、まだ羽が小さくてショボイですね。なんか羽の位置も後ろ気味で変です。
拡大、ひねりなどを入れ、形を整えていきます。
仮CG
ここまでくると、大体の素材は揃ったので、一旦全てを仮配置してCGを作成します。
これにより、全体のバランスを再確認するのと同時に、必要となる子供達の写真のアングルも確認します。
ところが!この仮CGを見て、
娘「これ何?何ていう生き物?」
自「えっ?馬に羽が生えてるんだよ。ペガサスに決まってるだろう?」
娘「馬?たてがみは?しっぽは?」
さらに
妻「羽がショボイ」
自「俺の作品にケチつけるのか?!」
・・・・・・・・・という訳で、しばらく喧喧諤諤・・・・・・・・・
実はペガサスのモデリングに疲れていたので、これで勘弁という気分だったが、ガーガー言われたので、ちゃんと「しっぽ」と「たてがみ」は付けることにした。
しかし、羽はこれくらいシンプルな方がいい!ということで押し切った。その代わり、羽の全てを黄金に輝かせることにした。
正直、本物の鳥の羽っぽいモデルを完璧に作るほどの余裕は無いし、この時点で十分疲れていた。
写真撮影
同じような日差しの日に、写真撮影を行った。
既にアングル、光源の位置が先の仮CGで決まっているため、楽である。
ところが、仮CGのように実際に門柱の横に妻を立たせてみると、頭が入りきらない。かといって手前に来るとどうしても不自然。
というわけで、私の場所を妻と入れ替え、私はポニーとにらめっこしている位置とし、ペガサスをもう少し奥へ移動させることにした。
上が実際に撮影した写真である。
息子のお尻が遊具のために欠けてしまっているため、後で書き足す必要が出そうだ。
仕上げ
全ての素材は揃った。後は、3D Studio Maxの中でこれら素材を色々といじり倒し、作品を仕上げる。
まずは親2人を配置する。このとき影が庭に落ちるように、ポニーの時と同じ細工をする。
ここでレンダリングを行い、今度はこのCGをベースとして次の作業に入る。
上のように、奥の羽だけのペガサスの画像を作成する。
羽は上下に羽ばたいて見える様にモーション・ブラーを掛けている。
何故、右羽がないのか?
モデリングされた物体は3Dソフト上で何とでもなるが、さすがにデジカメで撮影した子供達の写真は2Dソフトを使用しての貼り付け作業となる。
この場合、奥の方から
ペガサスの左羽 --- ペガサス本体 --- [子供達] --- ペガサスの右羽
となっており、3D素材の合間に子供達を挟み込む必要があるため、バラバラにレンダリングすることになる。
ということで、上が子供達を張り合わせたところ。
娘の足が羽にあたりそうな角度だったので強引に伸ばしている。ただしほとんどが右羽に隠れるため、大雑把である。
後は手前の右羽をレンダリングすれば、ほぼ完成である。
完成
例えば、息子は黄金に輝く羽からの照り返しを受けているはずで、体の一部に薄い金色をかぶせてある。
というわけで、今年はこんな感じである。
投稿者 abeshin : 2002年1月 4日 23:26